NHKドラマ『大奥』を読み解く    ~生と死、性と心~

こんにちは。Nurture&Matureの飯沼美絵です。

今年もあと3日です。
どうやらこのブログを楽しみに読んでくださっている方がいらっしゃるみたい!
ということで今月は2回目を書いてみます。
読んでいる方がいるとわかると張り切るワタシ 笑。

さて、今年は政治と企業の世界では相次いで喜ばしくないニュースがありましたね。
他方でスポーツの世界では、かつて無いほど多種のスポーツで選手の皆さんの美しい姿を観ることが出来ました。
まぁ、この格差たるや。

日大のアメフトも、どこかで“日大のため”という本末転倒な存在になってしまたったのでしょう。
そうならなければ、きっと素晴らしい組織であり続けたことでしょうに、ね。
スポーツの世界では、今までは漫画の世界でしか見てこなかったようなシーンが連発していました。
あるいみ政治と企業も、宜しくない方向でこれまでの現実では信じがたいようなことが起きました。
漫画、映画、ドラマ、歌、こちらもたくさんの素晴らしい作品がありました。

今日は、私の今年一押しのドラマ、NHK「大奥」の感想や考察を書いてみたいと思います。
このブログを書くために、NHKオンデマンドで最初から観なおしたのです!

で、本当はSeason2まで一気に観る予定だったのですが、前半の10話までで力尽きました。
(だってNHKオンデマンド、倍速できないんだもん・・)

とはいえ、やっぱり2回観ると、いろんなことに気づき、考えさせられますね。
と言うわけで10回分、どこにも出てこないであろう考察を楽しんでくださいな!

さて、まずこの大奥、全21話あります!
https://www.nhk.jp/p/oooku/ts/PKYJ66Q8JP/

同じ徳川を描いているのもあって、あまりふるわなかった松潤の大河ドラマと比較されることが多いように思いますが、こちらも相当気合いを入れて制作されたことがうかがわれました。
全体から、大きく5つのパートに分かれています。

1家光の時代 2綱吉の時代 3吉宗の時代 4家治・家斉の時代 5家定・家茂の時代
注目どころはたくさんあるのですが、今回は男女逆転の将軍様、ということで豪華な女優陣の皆様が将軍様をリレーする形で個性を競い合う様が本当に楽しませてくれました。

あともう一つ注目するべきは、NHKということもあって、寄り道せず一貫してジェンダーを描いています。(原作もそうなのかな?)
では順を追って、パート1からみていきたいと思います。
私なりに各パートのテーマを出してみますね。

まず、パート1のテーマは、「家を出なければいけなかった人たち」
毎回最後に流れる、幾田りらさんの歌が効果的でしたね。
「望んだわけではなく 此処に生まれ落ちて 気付けば両手一杯が 託された理想で溢れる」
この16小節分だけで十分このパートのテーマを言い表しています。

ここのメインの登場人物は3人。

家光(本名はちえ)、有功(ありこと)、春日局。
共通しているのは、何らかの理由でみんな、家を追われたこと。
家を出ざるを得なかったけど、「ここで生きて行くしかない」、それぞれの方法で生きて行こうとする。
特に春日局の子供の頃の回想シーンが印象深かったですね。

春日局は明智光秀の部下だった家柄の出でした。明日をも知れぬ身で生き抜いてきた人です。
戦乱の時代がトラウマ、ゆえに絶対繰り返したくない。
そのためならどんな手を使っても家康が作った揺るぎない”身の安全”のシステムを維持したい、崩壊させたくない。

それには将軍を揺るぎなく引き継いでいく仕組みが必要。
まさに、今も世界中で起こっている、“難民のトラウマ”が描かれています。
至る所で古今東西存在していおり、同じパターンが描かれています。

彼女の執着に、家光と有功は振り回されます。
2人は仕組まれて夫婦になったものの、子供はできず、有功の部屋子だった玉栄が家光の側室となります。
ここから有功は大奥総取締役として着任します。正式な大奥制度のスタートです。

有功が着任したときに、彼は大奥の場を表現する言葉として、こんなセリフを言っています。
「この上ない歓びも、出口の見えぬ哀しみも」

これは、大奥の最後の代を務めた、瀧山も最後に同じ言葉を言っています。
まあ、本当にこのあとパート2までは(いや、爽やかだったのはパート3くらいか)ドロドロドロドロ~が繰り返されていくことになります。

嫉妬、羨望、孤独。

先代のトラウマが次の世代の新しいトラウマを引き起こすことに。
部屋子の玉栄は最初こそ、初々しくて“有功様だいすき~”っていう毒の無い好青年だったんですけどね・・。
パート2は彼の果てしない欲が大爆発して、更なる世代間トラウマを増強していってしまいます・・。
最初は、愛しい有功様を守るための小さな殺生が、同じように愛しい人を守るための殺人で、彼の血は絶えてしまいます。

そう、大奥全編を一貫して流れる大きなテーマは“生と死”。また、“性と心”とでも言えましょうか。

ちなみに斉藤由貴さん、よかったな~。
春日局役で、自分のことを「ババは・・」とか言っているけど、それでもなぜか可愛い・・・。
この方、私が小学校の時に“卒業”を歌っていたんですよね。あとはスケバン刑事とか。大好きだったなぁ~!
何歳になってもかわいらしくて魅力的。魔性の女!いつの間にか不倫スキャンダルもどこへやら 笑。

さてシーズン2、先ほど出てきた玉栄が桂昌院となり、その娘の綱吉の時代です。

「力のぶつかり合い」がテーマ。

ここは象徴的に、力をぶつけあう、相対するシーンが盛りだくさん出てきます。
中国の文献を読み上げるシーンも多いのですが、例えば、
「力を持って人を服するのは・・・」

場面の切り替わりでこんな文章が流れたり、
あるいは、大奥の男達が運動会みたいな、はちまきを奪い合うシーンで場面が切り替わったり。
わかりやすいメッセージが盛りだくさんでした。

もう豪華絢爛、キンキンキラキラ。ふすまの金色も、衣装のキンキラも刺繍もド派手。
また、女性の髪型も、おなじみのカツラ型、文金高島田になります。
(背が高いと梁に引っかかりそう!この後出てくる冨永愛とか松下奈緒とか、気を遣っただろうな・・)
家光までは髪を垂らしていましたが、あれは毎朝、相当時間のかかるセットだろうなと想像してしまいます。
まあそれだけ、戦争の心配をしなくてよくなったんですよね。

「政権」という幕府が確固たる力を得たことの誇示と、“鎖国”というものが象徴するように、外との距離を保って内情を隠そうとする。
ここで取り上げたいのは、側用人、柳沢吉保(倉科カナ)の悲しそうな顏・・・・。

パート2は多くの人が強気を装いますが、柳沢吉保は、他の人が表現しきれない悲しさをしっかり表現してくれています。
子供の頃からずっと一緒だった2人。
綱吉が政治の表舞台に出るまでは、柳沢吉保は学びのパートナーでした。ところがその役を男性に奪われる。
愛するパートナーを男性に奪われる。

吉保は性の相手は桂昌院であるものの、心の相手は綱吉。
ところが綱吉に桂昌院との関係がバレて、激しく嫉妬されます。
ここら辺りは複雑ですね。

観ていて綱吉はどっちに嫉妬したんだろう?と思いましたが、
刀を吉保の足に突き刺して「絶対私から離れるな」と言うと、吉保は嬉しそうにします。
本当は、この2人が招き入れたくない男が作ったシステムを無視できない、
その中でも共に生きていかなくてはならない嘆き、心の傷みを共有しているようなシーンに見えました。

表向き力は女性にあるが、根底のシステムでは男性から乖離して生きてはいけないというメッセージ性。
ここも現代と男女は逆だけど、同じことが構造で起きている、というメッセージを受け取りました。
新しい世代を受け継ぐ仲間として、綱吉と右衛門左は足らない力を学問にすがろうとしたんだと思います。
足らない力を学問で補おうとする、対するパート1の世代だった彼らの力の象徴は“家柄”
学問(先人の成功者)VS家柄(現代の成功者・桂昌院)

結局、綱吉は父親に抗いきれず・・。。
もうにっちもさっちも、お手上げの綱吉。

そんな晩年に、”信”という新しい時代の兆しが登場します。信は後の8代将軍吉宗の子供の頃です。
この後、どうしても綱吉が壊しきれなかった“家柄を守るための呪縛”を、この後のパート3で吉宗が解いていくことになります。
子供時代の彼女の言葉に、心底綱吉は笑い、“そんなことだったか!”、という痛快な表情を見せます。

そして、綱吉と右衛門左との間で、性と心の統合がようやく起こり、もう1つの浄化がここで最後に起こります。

しかし取り残されたのは、桂昌院と柳沢吉保。

桂昌院自身が起こした殺生という過去の因果を、今度は吉保が最愛の人を我が手にとどめるために殺してしまう、という結末でした。
“進化・再生・エロス”側の綱吉と右衛門左と“留める・破壊・タナトス”側の桂昌院と吉保。
“力”という男性性の象徴としての競い合いに、どこか最後まで参加できなかった柳沢吉保。

ここで描きたかったのは、同性愛者の嘆きでしょうか。
女性性では女性を満たすことができない、という嘆き。
最後に、彼女の中で抑圧されまくってきた力は、自分の存在を認めさせるため、大きな力となって表現されます。
この、主君と部下との歪んだ関係が次のパート3では浄化されることになります。

パート2は、自分が生きることで一杯一杯だった時代。
パート3のテーマは「力の交流」と名前をつけました。

今回はここでおしまい。こうご期待です。
さて、大奥前半の考察、長くなってしまいましたけど、楽しんでくださったら幸いです。
今年もお世話になりました。来年もどうぞ、ごひいきによろしくお願い申し上げます!

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